デザイナー川上淳也の良き理解者であるスタイリストの池田尚輝さん。氏が今季、数あるアイテムの中から購入したのが、インディゴ糸を使って仕上げた特殊な3RD TYPEのニットジャケットだ。池田さん曰く『実にセブンバイセブンらしいアイテム』とのこと。その意味について、お話を聞かせていただきました。
『説明されるまで、
ニットだとは気づかなかった』
「2025年秋冬シーズンの展示会にお邪魔してこの作品を見たとき、恥ずかしながら説明されるまでニットだとは気づかなかったんです。また変わったデニムをつくったなくらいに思っていました(笑)。でもニットだと聞いて実際に羽織ってみたら、、! この違和感には驚きましたね。着心地はニット。だけど見た目はデニム。すごく面白いアイテムだと思います」

「あくまで個人的な見解ですが、僕はこのアイテムに80~90年代のデザイナーズデニムの面白さを感じました。シルエットやディテールがやや大きめで、独特なウォッシュドでデザイン性を高めている」

「以前、SEVEN BY SEVENでスノーボードウエアをレザー素材で再構築したシリーズがあったと思うのですが、今回もそれに近い遊びを感じました。本格的なところを知っているが故の抜きの遊び。さりげないというより、もはやちょっとわかりずらいくらいのズラし。まさにSEVEN BY SEVENならではのアイテムだと思います」
『成立しにくいものも成立してしまう』

「僕が実際に購入したのはノンウォッシュのブラック。最初はハリがあるのですが、着ていくと重みで落ち感が生まれてくる。着心地はほんとにいいですね。3rdタイプのデザインですが、Gジャンというよりカーディガンを着ている感じに近い。形はアウターで着心地がニット。ありそうで実はあまりない着地だと思います」

「今回は大きめの古着のスウェットにトラックパンツでコーディネート。差し色を使ってみることも考えたのですが、モノトーンでスッキリまとめるのがしっくりきました。特にこれと言って工夫のない着こなしではあるものの、これが普通の Gジャンだったら多分成立しない。そういう面白さがこのジャケットにあリます」
『マニアックすぎる違和感』

「パンツはスッキリしたシルエットが特徴。これならスニーカーも革靴もいけます。こちらもやはりモノトーンでコーディネート。(おそらく)ジャック・ケルアックが描かれた古着のTシャツの下には、SEVEN BY SEVENのボーダーTシャツを重ねました。これがバランスをとってくれています。このパンツ、ニットだって知ってて見てもそう見えないですよね? そういうちょっとした違和感がいいんです」
『ニットじゃなければ
この仕上がりにならない』


「ウォッシュドのインディゴパンツには、数シーズン前のSEVEN BY SEVENのウールコーデュロイのハリントンジャケットを。その下にドイツ軍のカモフラージュパーカを重ねてみました。ニット素材の違和感とデニム然としたフェード感が効いていますよね。赤いコンバースもよく映えます」
『差がつく、ということ』

「ウォッシュドタイプのニットジャケットのインナーに合わせたのは、ビックシルエットのTシャツとニットベスト。冒頭にお話しした、デザイナーズデニムを古着で遊ぶフィーリングで作ったスタイリングです。トラッドだけど明らかに正統派じゃない。こういうバランスって成立させるのは簡単じゃないけど、だからこそうまくまとめられた時の洒落の効き方がいい。着こなしに差がつくアイテムなんだと思います」
「川上さんが作る服には、ものの見方への問いかけが多く含まれている気がします。主にアメリカの服の系統の中で、彼の思い入れのアイテムや面白いと思っているアイテムが、セオリーとは違う形で提案される。そのツイストをいかに楽しむか。それが面白いし、ひいてはこのブランドそのものの魅力なんだと思います」

